数十年のズレ!?
7月22日
「沈黙の春」
P261~262
ミトコンドリアは、60年以上も前(解説によればこの書は1962年に出ているので、1900年には既に…ということか)に発見されていたが、たいした機能をもたないと思われていた。…ミトコンドリアの研究が脚光をあびはじめたのは1950年になってからで、ここわずか5年間に1000点を数える文献が現れた。ミトコンドリアの神秘は、科学者の驚くべき叡智と忍耐によって解き明かされた。…こうして明らかになったことは…ミトコンドリアは、エネルギーを生み出す仕事をほとんど一手に引き受けてい発電所》に似ている。…ここで酸化作用が完全に行われ、莫大なエネルギー量が放出される。…ミトコンドリアの内部では、ぐるぐる回る輪のように休む暇もなく酸化作用が行われている。酸化循環の各段階で発生するエネルギーは、生化学者がATP(アデノシン三リン酸塩)と呼ぶ形をしている。
P263
ATPは、いたるところに見られるエネルギーの供給源だ。微生物から人間まで、あらゆる有機体に見られる。機械エネルギーを筋肉細胞に供給し、神経細胞には電気エネルギーを供給する。精子細胞、受精卵子(カエルになったり、鳥になったり、人間の子になったりする、ものすごい爆発力を裡にひめている)またホルモンをつくる細胞ーこれらはみなATPの供給を受けている。…神経細胞ではほかの細胞とのつぎ目に見られ、インパルスの移動に必要なエネルギーを供給している。
P264
遊離状態にあるリン酸塩基とADP(アデノシン二リン酸塩)が結合してATP(アデノシン三リン酸塩)に可逆的に変化する反応(バッテリーの充電)は、酸化プロセスと結びついている。…強い場合は、共役リン酸化と呼ばれる。この連合反応がなければ、必要なエネルギーを供給できなくなってしまう。…空回りするエンジンのようなもので、熱を出すだけで力は出ない。筋肉は収縮できず、インパルスは神経をパスできない。…やがて組織が死に、そればかりか有機体そのものが死滅してしまう。共役反応が起こらない場合とは?たとえば、放射線。…そしてまた不幸なことには、酸化とエネルギー発生とを切り離してしまう化学薬品が多い。殺虫剤、除草剤もその仲間だ。…