onna-k-hibimo7964の日記

妄想と独り言のようなものから行動を起こす

どちらが実際的か?という考え

7月23日
 P308
…そのとき、ジョン・スノーというロンドンの医者がコレラ発生の地図をつくり、その発源地をつきとめた。その地域の住民は、ブロード街にある一つの井戸から水をくんでいたのだった。さっそく、井戸のポンプの取っ手を外してしまった。・・・コレラ菌を殺す魔法の薬ではなく、環境からコレラ菌を絶滅することによって、伝染病を抑えることができたのだ。・・・対策の面での成果も、患者を治すということばかりでなく、伝染病の震源地を弱めるとうことにある。・・・いまや、私たちの世界は、ガン因子でいっぱいだ。ガンを抑える《奇跡の治療法》がそのうち見つかると思って、治療の面ばかりに力を入れ、発ガン物質の海がひろがるのにまかせておけば、ガン征服も夢に終わるだろう、とヒューパー博士は言う。
 P309
たとえ《夢の治療法》が見つかってガンを抑えられたとしても、それを上回る速さで、発ガン物質の波は次から次へと犠牲者をのみこんでいくだろう。なぜまた、ガンについて、予防という常識的な対策をすぐにでも取ろうとしないのか。・・・だが、ガンが発生しないように予防する方が、《ガンにかからせてからなおすより、明らかに人間的》であり、また《はるかに効果的》ではないのか。《朝食の前にいつも魔法の薬を飲めばガンにならない》という甘い考えを持っていいのか・・・

 

 おそらく今では、「いたるところの《危険因子》に対して、どうすることもできないのだから、薬に頼るようになってるのではないですか?」といった反論も出そうです。でも、冷静に読んでみると、上のヒューパー博士のような研究者の立場から、“がぜんそう思えている”ということなのだろうと思いました。いちいち気にしていたらきりがないということはたしかにあると思います。でもある意味、覚悟を決めて手段を変え、生活を変え、文化を変えていくという道以外に前向きで、実際的な道はないような気がしました。